新幹線の顔はなぜ長い?カモノハシ形に隠された驚きの科学と進化の真相

新幹線の顔はなぜ長い?カモノハシ形に隠された驚きの科学と進化の真相

新幹線の顔はなぜ長い?カモノハシ形に隠された驚きの科学と進化の真相の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

新幹線の顔の進化を語る上で欠かせないのが、1997年に登場したJR西日本の「500系」です。当時世界最速タイとなる時速300kmでの営業運転を目指した開発チームは、極限の騒音対策という巨大な壁に直面しました。

この難局を打破したのが、開発責任者の趣味であった野鳥観察から生まれた「生体模倣(バイオミミクリー)」の思想です。水中に飛び込む際に水しぶきを上げない「カワセミ」の円錐形のくちばしに着目し、先頭長15メートルに及ぶ円筒形のロングノーズを設計。さらに、獲物に音もなく忍び寄る「フクロウ」の羽の構造をパンタグラフに応用することで、騒音基準を突破しました。

一方、JR東日本が東北新幹線の時速320km運転に向けて開発した「E5系」では、先頭形状「アローライン」が採用されました。15メートルもの長大なノーズを持ちながら、先端から運転席、客室へと続く断面積の変化を極限まで滑らかにするため、膨大な数値流体力学(CFD)シミュレーションと実車試験(FASTECH 360)が繰り返されました。

東海道・山陽新幹線の最新主力形式である「N700S」では、コンピュータが自己学習を繰り返して最適解を導き出す「遺伝的アルゴリズム」を活用。両サイドのエッジを立てた「デュアルスプリームウィング形」を採用することで、トンネル微気圧波を抑制しつつ、最後尾走行時の風の流れを整え、消費電力を従来比で大幅に低減させることに成功しています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。