映画『GANTZ』パート1の最大のハイライトの一つであり、観客に強烈なトラウマを植え付けたのが、西丈一郎の凄惨な死亡シーンです。
ステルス機能を駆使してネギ星人(子)を惨殺した西でしたが、怒り狂ったネギ星人(親)の出現により形勢は逆転。圧倒的な怪力によって下半身を破壊され、さらに胴体を裂かれるという過激な描写が繰り広げられます。原作ファンにとって最も戦慄すべきこの局面で、本郷奏多が見せたのは「邪悪な悪童の剥落」でした。
それまで冷酷に見下していた玄野や加藤に対し、苦痛に顔を歪め血反吐を吐きながら叫ぶ「やだよ母ちゃん……死にたくないよ……」という命乞いの断末魔。このセリフは、撮影現場でも監督・佐藤信介氏をはじめとする製作陣を震撼させました。強固な悪意の鎧で身を包んでいたはずの少年の内側にあったのが、ただの「死に怯える無力な子供」だったという事実を、本郷は声のかすれ、視線の揺らぎ、指先の痙攣に至るまで克明に表現しきったのです。
報道資料や当時のメイキングインタビューによると、このシーンの撮影は真冬の極寒の中で行われ、特殊メイクとCG合成のマーカーを全身に施した過酷を極めるものでした。極限状態の中で搾り出された生への執着は、映画史に残る名散り際として今も語り継がれています。