父である西郷輝彦は、1960年代に「御三家」の一角として歌謡曲全盛期を牽引した大スターだ。空前の大ヒット曲「星のフラメンコ」で一世を風靡し、甘い歌声と圧倒的なオーラで日本中を魅了した。さらにその活躍は音楽にとどまらず、熱血ドラマ『どてらい男』での熱演や、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』での片倉小十郎役など、時代劇の歴史に刻まれる名演技で役者としても不動の地位を確立した。
あまりにも巨大な父の背中。音楽の世界に足を踏み入れた辺見鑑孝にとって、父が残した数々の実績は、超えるべき壁であると同時に自身の表現を深める指標でもあった。表舞台で燦然と輝き続けた父の存在を感じながら、彼はスタジオの鍵盤に向かい、己の表現スタイルを模索し続けたのだ。