本作のキャスティングにおいて、特に観客の度肝を抜いたのが主要キャラクターたちを演じた俳優陣の圧倒的なパフォーマンスです。「言われるまで誰の声かわからなかった」という声が続出した名演を個別に振り返ります。
【青サギ / サギ男 役:菅田将暉】
映画のキービジュアルにもなった青サギの声を担当したのは菅田将暉さん。しゃがれたダミ声と狡猾で不気味なトーン、そして時折見せる愛嬌のある人間臭さを巧みに演じ分けました。従来のスタイリッシュな菅田さんのイメージを完全に覆す怪演は、作中でも指折りのハイライトとなっています。
【主人公・牧眞人 役:山時聡真】
複雑な心理を抱える主人公・眞人を演じたのは、当時現役高校生(18歳)だった若手俳優の山時聡真さんです。数百人に及ぶオーディションの中から宮崎駿監督自ら抜擢。思春期特有の頑なさ、悲哀、そして成長への決意を、過度に誇張しない瑞々しいリアリズムで表現し切りました。
【ヒミ 役:あいみょん】
シンガーソングライターとして絶大な人気を誇るあいみょんさんが声優に初挑戦。火の魔法を操る力強い少女・ヒミを、凛とした伸びやかな声で演じました。母性のような温かさと少女の無邪気さを兼ね備えたトーンが、過酷な旅を続ける眞人の魂を照らす存在として鮮烈な印象を残しています。
【牧勝一 役:木村拓哉】
『ハウルの動く城』のハウル役以来、約19年ぶりのジブリ作品出演となった木村拓哉さん。眞人の父・勝一役として、昭和の復興期を生きるエネルギッシュで不器用、しかし息子への深い愛情を持つ男性像を威風堂々と演じました。短い登場時間ながらも画面を支配する圧倒的な存在感を発揮しています。
【キリコ 役:柴咲コウ & インコ大王 役:國村隼】
キリコ役の柴咲コウさんは、現実世界のしわがれた老婆の声と、異世界での凛々しく逞しい女性漁師の声を見事に演じ分け、その卓越した表現力を見せつけました。また、異世界の覇権を狙うインコ大王役の國村隼さんは、重厚なバリトンボイスで権力者の狂気と威圧感を醸し出し、物語にサスペンスフルな緊張感をもたらしました。