本作の全話平均視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)にとどまり、2012年の『平清盛』と並ぶ当時としては記録的な低水準としてメディアの批判の的となりました。しかし、その要因を精査すると、主演女優の演技力とはかけ離れた構造的な問題が浮かび上がってきます。
最大の要因と指摘されるのが、制作途中における脚本変更と演出の迷走です。当初は大島里美と宮村優子が手掛け、吉田松陰が開いた松下村塾を舞台に、若き志士たちを台所で支える青春群像劇としてスタートしました。しかし、序盤の視聴率が伸び悩むと、制作陣は中盤から急遽、ベテラン脚本家の小松江里子を投入。長州藩の大奥へと舞台を移し、女性同士のドロドロとした権力争いや愛憎劇へと舵を切りました。
このテコ入れが、かえって裏目に出ました。松下村塾の志士たちの絆に共感していた層はドラマの変容に戸惑い、元来の大河ファンが求める「禁門の変」や「下関戦争」といった幕末の軍事・政治的スペクタクルは画面の外で処理されることが多くなったためです。さらに終盤では舞台が明治期の群馬へと移り、楫取素彦とともに進めた製糸業や教育改革が描かれましたが、大河ドラマに英雄譚や合戦の爽快感を求める視聴者層の期待とは最後まで噛み合いませんでした。