井上真央『花燃ゆ』涙の真相と座長の重圧|10年越しに覆る評価と現在

井上真央『花燃ゆ』涙の真相と座長の重圧|10年越しに覆る評価と現在

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本作の全話平均視聴率は12.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)にとどまり、2012年の『平清盛』と並ぶ当時としては記録的な低水準としてメディアの批判の的となりました。しかし、その要因を精査すると、主演女優の演技力とはかけ離れた構造的な問題が浮かび上がってきます。

最大の要因と指摘されるのが、制作途中における脚本変更と演出の迷走です。当初は大島里美と宮村優子が手掛け、吉田松陰が開いた松下村塾を舞台に、若き志士たちを台所で支える青春群像劇としてスタートしました。しかし、序盤の視聴率が伸び悩むと、制作陣は中盤から急遽、ベテラン脚本家の小松江里子を投入。長州藩の大奥へと舞台を移し、女性同士のドロドロとした権力争いや愛憎劇へと舵を切りました。

このテコ入れが、かえって裏目に出ました。松下村塾の志士たちの絆に共感していた層はドラマの変容に戸惑い、元来の大河ファンが求める「禁門の変」や「下関戦争」といった幕末の軍事・政治的スペクタクルは画面の外で処理されることが多くなったためです。さらに終盤では舞台が明治期の群馬へと移り、楫取素彦とともに進めた製糸業や教育改革が描かれましたが、大河ドラマに英雄譚や合戦の爽快感を求める視聴者層の期待とは最後まで噛み合いませんでした。

項目詳細・数値データ一般的な基準・相場編集部の見解・評価平均視聴率12.0%(関東地区)当時の大河平均:15〜18%数字上の不振は否めないが、リアルタイム視聴率至上主義時代の過度な叩き棒にされた側面が強い。脚本陣の変遷大島里美・宮村優子 ➔ 小松江里子ほか単独または2名のメイン体制テコ入れによる複数脚本体制が、作品のトーン&マナーの不連続性を招いた最大の原因。物語の構成萩・塾生編 ➔ 長州大奥編 ➔ 明治群馬編主人公の一貫した政治的台頭劇3部構成でテーマがガラリと変わったため、通年視聴者の感情移入が分断された。キャスト陣の評価大沢たかお、伊勢谷友介、高良健吾ら集結実力派・人気俳優の布陣個々の演技力は極めて高く、場面単体の感情描写や熱量は現代の鑑賞にも十分耐えうる。
斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。