Wordを使い慣れていない方だけでなく、長年業務で使用しているベテランでも陥りがちなのが「改行すると2行分くらいの広いスペースが空いてしまう」という現象です。このトラブルが発生する背景には、Word特有の文書構造設計が存在します。
Microsoftの公式サポート資料や仕様設計を確認すると、Wordにおけるテキスト管理は「文字」「行」「段落」「セクション」という階層で制御されています。私たちがキーボードの「Enter」キーを押したとき、Word内部では単なる改行ではなく「新しい段落の開始(段落改行)」として処理されます。標準テンプレート(Normal.dotm)では、欧米のタイポグラフィ基準に基づき、視認性を高める目的で「段落の後ろに自動で余白(0.5行〜8pt程度)を付与する」初期設定が組み込まれているため、意図せず大きな隙間が発生するのです。
さらに、日本語版Wordに特有の「行グリッド線」機能が有効になっている場合、文字サイズがわずか0.5pt大きくなっただけでテキストが次のグリッド線へと強制的に押し出され、見た目上の行間が倍増してしまいます。「文字を小さくしたのに隙間が消えない」という違和感の正体は、この二重のレイアウト制御にあります。