膨大な情報が飛び交うインターネット上では、ディズニーの馬キャラクターに関して事実と異なる誤解や都市伝説がしばしば独り歩きしています。正確な作品理解のために、代表的な誤認を是正しておきます。
最も頻繁に見られるのが、「白雪姫を迎えに来た王子の白馬の名前」に関する混乱です。一部の非公式まとめサイト等で固有の名称が流布されるケースがありますが、1937年の長編映画『白雪姫』本編中において、王子の馬に公式な固有名称は呼ばれていません(後年の関連コミック等で便宜上の呼称が用いられることはあっても、映画の正史としては名無しの白馬です)。同様に、『美女と野獣』のフィリップを「王子の馬」と誤解する記述も散見されますが、フィリップはあくまでモーリスとベルの父娘が暮らす貧しい寒村で飼われていた労働馬であり、王室の血統馬ではありません。
また、『アナと雪の女王』でハンス王子が騎乗していたシトロンを「悪馬」と断定する言説も誤りです。ハンスの裏切りという衝撃的なプロット展開に引っ張られがちですが、シトロン自身はアナとハンスの出会いの場面で舟を岸に繋ぎ止めるなど極めて献身的に描かれており、主人の真意とは無関係に自らの役割を全うした純真な動物に過ぎません。キャラクターの行動と主人の倫理観を切り離して観察することこそが、ディズニースタジオの動物描写の深みを味わう鍵となります。