2026年春の甲子園。超満員のスタンドから湧き上がる歓声の中、マウンドに立った末吉の一球目がキャッチャーミットを激しく叩いた。快音とともに球場表示に躍り出た数値は148キロ。だが、スカウトたちが息をのんだのは球速そのものよりも、その伸びやかなボールの軌道と、リリース瞬間の指のかかり具合だった。
打者の手元で鋭く曲がり落ちるスライダー、そしてカウントを自在に奪うチェンジアップ。投球の引き出しは一冬を越えて劇的に増えていた。かつては直球主体の力押しが目立った投球スタイルだったが、今や緩急を自在に操るマウンドの支配者へと変貌を遂げている。相手ベンチの狙いを外し続ける配球の妙は、高校生の領域を優に超えていた。