麻生太郎氏ほど、世論の好悪が真っ二つに分かれる政治家も稀です。ネット上やSNS、5ちゃんねる、Yahoo!ニュースのコメント欄などで繰り広げられる議論を検証すると、極端なまでの「称賛」と「拒絶」が常にぶつかり合っています。
批判派が槍玉に挙げるのは、度重なる舌禍事件です。「創味高齢者」「子どもを産まなかったほうが問題」「戦勝国に失礼」といった過去の数々の際どい発言は、野党や大手リベラル系メディアから「配慮に欠ける特権階級の傲慢さ」「弱者への共感の欠如」として厳しく追及されてきました。SNS上でも「一般庶民の苦境が分かっていない」「時代錯誤な家父長制の亡霊」といった激しい非難の声が定着しています。
一方で、熱烈な支持層が存在するのも事実です。ネット掲示板やX(旧Twitter)では、「マスコミの揚げ足取りに屈しない姿勢が痛快」「綺麗事ばかり並べる政治家より、本音で現実を語ってくれる」「国際金融交渉の場で見せるスーツの着こなしと英語での堂々とした交渉力は頼もしい」といった評価が根強く寄せられます。政治家の言葉が官僚の作文を読み上げるだけの無味乾燥なものに変質していくなかで、生身の感情と教養を交えて語る「麻生節」に、ある種のカリスマ性と信頼を見出す層が確実に存在しています。
現場取材で見えるリアルな姿もまた二面的です。記者会見場では、挑発的な質問をする記者に対して口元を歪め皮肉を浴びせる冷徹なボスとしての顔を見せる反面、派閥の若手議員や地方後援会の会合では、驚くほどきめ細やかに周囲に気を配り、一人ひとりの名前や家族構成を記憶して声をかける面倒見の良さを見せます。この「外敵には冷酷だが、身内には絶対の信義を尽くす」という昭和任侠映画にも通じる行動原理こそが、支持者を惹きつけて離さない求心力の核となっています。