原体験(げんたいけん)とは、現在の個人の思想、価値観、行動指針のベースを形作った、過去の強い実体験や原初的な記憶を指します。哲学や教育学、心理学などで用いられてきた概念ですが、昨今ではキャリア論やビジネスシーンにおける最重要キーワードとして定着しました。
重要なのは、原体験とは「世界一周をした」「起業して成功した」といった派手な実績を指すのではないという点です。子どもの頃に感じた強烈な悔しさ、誰かに感謝されて心の底から嬉しかった瞬間、理不尽な状況に対して抱いた強い憤りなど、「感情が激しく揺さぶられた生身の体験」こそが原体験の本質に他なりません。
人間は論理だけで行動を選んでいるように見えて、重大な決断を下す瞬間には無意識のうちに過去の情動体験を参照しています。自分が「なぜその分野に惹かれるのか」「なぜ困難な状況でも踏ん張れるのか」という問いの根底には、必ずこの根源的な体験が存在しています。