ネット上のコミュニティやQ&Aサイト、企業のセキュリティ担当者へのヒアリングを分析すると、限定公開の運用を巡る生々しいトラブルが数多く報告されています。
知恵袋やSNSで散見される代表的な相談が、子どもの運動会や結婚式の余興動画に関するトラブルです。親族にだけ見せる目的で限定公開にし、LINEで親戚一同にURLを共有したところ、親族の1人が自身のSNSアカウントで「うちの甥っ子です」とリンク付きで紹介してしまい、見知らぬユーザーからコメントがついて初めて流出に気づいたという事例です。取材したITセキュリティアナリストは次のように指摘します。
「デジタルリテラシーには個人差があります。共有した側が『内緒のリンク』だと思っていても、受け取った側は単に『YouTubeの動画リンク』としか捉えておらず、悪気なく拡散してしまう。限定公開という名称が『限られた人しか見られない強固なシステム』であるかのような錯覚を与えている点に根本的な問題があります。」
また、ビジネス現場では「未公開の新製品マニュアル」や「採用候補者向けの限定案内」を限定公開で共有し、退職者や競合他社へリンクが漏洩したケースも確認されています。YouTubeのアクセシビリティの高さが、ビジネスにおける情報管理の厳格さと衝突してしまう典型的な摩擦と言えます。