親密になると逃げ出す心理とは?回避性愛着障害の原因と恋愛の処方箋

親密になると逃げ出す心理とは?回避性愛着障害の原因と恋愛の処方箋

親密になると逃げ出す心理とは?回避性愛着障害の原因と恋愛の処方箋の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

人がどのように他者と絆を結ぶかという「愛着スタイル」は、生まれ持った気質だけでなく、乳幼児期から思春期にかけての養育環境によって形作られます。精神科医の岡田尊司氏が著書『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』などの臨床研究で一貫して指摘しているように、回避型の愛着は「愛情を求めながらも拒絶され続けた結果の後天的な適応」です。

その背景には、大きく分けて二つの典型的な成育パターンが存在します。

一つ目は、感情的なネグレクト(情緒的応答の欠如)です。幼少期に泣いたり甘えたりしても親が多忙や無関心で受け止めてくれず、助けを求めても拒絶される経験を繰り返すと、子どもは「他者に助けを求めても傷つくだけだ」「感情を表に出すことは無意味だ」という生存戦略を学習します。その結果、自分の感情を切り離し、一人で生き抜く強固な殻を作り上げます。

二つ目は、対照的に見える親の過干渉や過剰な支配(条件付きの愛情)です。「テストで良い点を取ったときだけ褒められる」「親の理想通りの行動を強制される」といった環境で育った子どもは、親の愛情を「自己の領域を侵略し、コントロールしてくる危険なもの」として知覚します。昭和から平成期にかけて見られた教育虐待やステージママ的な家庭環境は、無意識のうちに子どもの心へ「親密さ=支配と束縛」という強烈な恐怖を刻み込みます。

この結果、大人になって他者から愛情を注がれた際にも、心のアラートが「また支配されるぞ」と誤作動を起こし、関係を断ち切る方向へと突き動かされてしまいます。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。