50メートルという極めて短いスプリント勝負において、タイムの3割以上は最初の10メートルで決まります。トップスピードに入るまでの加速度を高めるための運動会で速く走る裏ワザとして、スタート技術の最適化は不可欠です。
小学校の体育や運動会ではスタンディングスタート(立ちスタート)が主流です。ここでタイムをロスする最大のエラーは、スタートの合図と同時に直立してしまうことです。これを防ぐのがスタートダッシュ前傾姿勢の徹底です。
構えの手順としては、まず得意な足(ボールを蹴る足の反対、または踏み出しやすい足)を一歩前に出します。前足のつま先はまっすぐ前方に向け、体重の約70%を前足に乗せます。そして「お辞儀」をするように胸を前方に倒し、頭から背中、後ろ足のかかとまでが一直線の斜めのラインを描く姿勢を維持します。この前傾角度を保ったまま最初の3〜5歩を地面を押し出すように低く飛び出すことで、圧倒的な初期加速が得られます。
さらに重要なのが、50メートル走フライング防止と反応速度のマネジメントです。運動会のかけっこで順位を落とす子の多くは、「位置について、よーい、ドン」の合図に対して過敏になり、フライングを恐れて合図からワンテンポ遅れてスタートを切っています。聴覚刺激への反応速度を高めるには、保護者が手を叩く音に合わせて即座に一歩を踏み出す「リアクションダッシュ」を5回程度繰り返す練習が効果的です。音を「待つ」のではなく、音が鳴った瞬間に前傾していた身体のバランスを崩して前へ倒れ込む感覚を身体に染み込ませます。