本作を彩るキャスト陣の豪華さも特筆に値する。役所広司の脇を固めるのは、実力派の若手俳優から海外で高く評価される国際派キャストまで多岐にわたる。だが、豪華な顔ぶれ以上に現場で語り草となっているのは、その徹底したリアリズムの追求だ。
「妥協という文字は現場に存在しなかった」。そう語るのは制作スタッフのひとりだ。天候待ちで3日間撮影がストップすることも日常茶飯事。自然の光と風の音を完璧に捉えるため、特定の時間帯のわずか10分間のためだけに全スタッフが息を殺して待機した。監督とキャストの間で交わされた議論は時に数時間に及び、台本にないセリフや表情が現場の空気感から次々と生み出されていったという。