高座でのどこか静謐で落ち着いた佇まいとは裏腹に、楽屋裏や普段の稽古場での彼は、探求心にあふれた情熱家の一面を覗かせる。伝統的な和楽や長唄、長年培われた文化への造詣も深く、楽屋では先輩後輩を問わず古典の資料や音源の話題で盛り上がることも珍しくない。多忙な日々の合間を縫って出演するNHKラジオの番組などでも、その誠実で落ち着いた語り口と豊富な知識が好感を集め、コアな演芸ファンのみならず幅広い層のリスナーを魅了している。
「実は、出番の直前まで楽屋の隅で手ぬぐいの折り方や畳み方を何度も確かめる癖があるんです」と笑うのは、楽屋仲間からの証言だ。一見すると気負いのない自然体の高座に見えるが、その裏には徹底した準備と美学が存在する。また、旅先での公演では地元の古い町並みや歴史ある神社仏閣を散策し、その土地の「風合い」を噺の描写にさりげなく生かしているという。こうしたファン必見の未公開裏話を知ると、彼の高座がいっそう味わい深く感じられるはずだ。