本作のクオリティを支えているのは、今や日本を代表する名優となった主演3人組と池田エライザの間に走る、凄まじい緊張感とケミストリーです。
自己愛とプライドばかりが肥大化したダメ男・クニを演じた林遣都、吃音を抱え内向的なコンプレックスに苛まれるイタ吉を演じた染谷将太、お調子者で空回りし続けるカツどんを演じた前野朋哉。2017年の実写化発表当時から「あまりにも贅沢すぎるキャスティング」と話題を呼びました。
公開当時の公式インタビューや舞台挨拶において、主演陣は池田エライザとの共演について「圧倒的な存在感に本気で気圧された」と述懐しています。男3人が控室で童貞の役作りに苦悩し、どうすれば本当に情けない男に見えるかを議論し合っていたのに対し、池田エライザは現場に入った瞬間から完全に「釈笛子」としての冷ややかな空気を纏い、3人を無言のうちに萎縮させたという逸話が残されています。
SNSや映画レビューサイトに寄せられた観客の生の声(一次感想)を分析すると、鑑賞前と鑑賞後で評価が劇的に反転している傾向が顕著です。
「池田エライザ目当てで観たら、林遣都と染谷将太のダメ男ぶりが痛すぎて胃が痛くなった」「エロ映画だと思って再生したら、20代半ばのやり場のない焦燥感を抉り出す傑作人間ドラマだった」といった意見が目立ちます。下俗な期待を入り口にして鑑賞した観客ほど、役者陣の容赦のないアンサンブルと人間臭いドラマに心を撃ち抜かれている実態が浮き彫りになっています。