プロの中華シェフが口を揃えて重要視するのが「隠し包丁」の技法である。ナスはスポンジ状の細胞構造を持っており、そのまま油で炒めると際限なく油脂を吸収してしまう。しかし、皮目に数ミリ間隔で細かい格子状の切れ目を入れておくことで、熱の通りが一気に加速する。
この隠し包丁を入れることで皮の突っ張り感が消え、短時間の加熱で芯まで火が通るようになる。その結果、過剰な油を吸い込む前に表面がコーティングされ、旨味の凝縮した濃密なタレが中まで一気に染み渡るのだ。一口食べた瞬間にじゅわっと広がる溢れんばかりの肉汁と餡のコクは、まさにプロの厨房で作られた麻婆茄子そのものである。