個人心理学の創始者アルフレッド・アドラーは、人間のあらゆる悩みは対人関係に由来すると断じた。日本国内で大きな話題を呼んだドラマ『嫌われる勇気』でも広く紹介された通り、他人の視線に縛られずに生きる考え方は多くの人々に勇気を与えた。しかし、この理念を都合よく解釈し、「思ったことを何でも口にしていい」と勘違いする誤解も生じている。
「自分は裏表のない性格だから」と開き直り、無遠慮な発言を正当化する姿勢は、アドラーの説く健全な自己受容とは程遠い。他者の境界線に土足で入り込む行為は、皮肉にも「他人から認められたい」という強い依存の裏返しなのだ。