えんじ色とは?ボルドーとの違いや由来・Jis規格コードを徹底解明

えんじ色とは?ボルドーとの違いや由来・Jis規格コードを徹底解明

えんじ色とは?ボルドーとの違いや由来・Jis規格コードを徹底解明についての真相をお届けします。

「臙脂」という独特な漢字表記の起源は、紀元前の古代中国にまで遡ります。中国の戦国時代に存在した「燕(えん)」の国において、女性が頬や唇に塗る化粧料(紅)の原料植物が採れたことから、古くは「燕脂(えんし)」と表記されていました。この燕の文字に月偏(にくづき)が添えられ、脂(あぶら)を意味する文字と組み合わさって「臙脂」という漢字が定着したと伝えられています。

日本への伝来は奈良時代以前とされ、正倉院御物の中にも臙脂で染められた美しい染織品が遺されています。しかし、ここで知っておくべき決定的な史実が「染料の劇的な原料転換」です。

古代から中世の日本において、臙脂色はキク科の植物である「紅花(ベニバナ)」から抽出した赤色色素(カルタミン)を濃縮・精製して生み出されていました。紅花から採れる赤色色素はわずか1%未満であり、臙脂色に染め上げるには莫大な量の紅花と熟練工の手作業を要したため、特権階級のみが身につけられる禁色(きんじき)に近い高貴な色として珍重された歴史があります。

転機が訪れたのは明治時代です。鎖国が解かれ、西洋から近代的な化学染料や新素材が流入する中、日本に大量導入されたのが「コチニール色素」でした。これは中南米原産のウチワサボテンに寄生するカイガラムシ(エンジムシ)の体内から抽出される動物性色素(カルミン酸)です。

コチニールによって作られた染料は「洋紅(ようこう)」と呼ばれ、従来の紅花に比べて退色に強く、極めて鮮烈で深い深紅を効率的に発色させることができました。これ以降、日本の「臙脂色」は植物性の紅花染めから、コチニールや合成染料による深い赤色へとその製法的な定義を進化させ、現代の工業規格へと受け継がれていくことになります。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。