新浪剛史氏が三菱商事からローソンのトップに就任した2000年代初頭、日本のコンビニエンスストア業界は巨大な転換期を迎えていた。セブン-イレブンという絶対的王者が君臨する中、追撃の手に苦慮していた同社に必要なのは、単なるマイナーチェンジではなく抜本的な構造改革だった。
彼が持ち込んだのは、商社仕込みのグローバルな視点と、極限まで無駄を削ぎ落とす徹底した現場発想である。PB(プライベートブランド)商品の刷新や、健康志向を軸とした「ナチュラルローソン」の展開など、既存の枠組みにとらわれない施策を次々と打ち出した。同業他社が規模の拡大のみを追求していた時代に、質的転換を優先した判断は、まさに稀代のプロ経営者ならではの攻策であった。