日本の命名問題を語る上で避けて通れない歴史的転換点が、1993年に起きた「悪魔ちゃん命名事件」だ。市役所が「悪魔」という名の受理を拒否し、親が不服を申し立てたこの騒動は、命名権の限界を国民に強烈に意識させた。当時から法制度上の穴は指摘されていたが、その後も「難読漢字・人名用漢字」の組み合わせによる自由すぎる名付けは加速。本来の訓読みや音読みにない独自の読み方が横行した。
長年、日本漢字能力検定協会などが漢字本来の成り立ちや読みの普及に努めてきたものの、デジタル化の波と相まって命名の多様化は歯止めがかからなくなった。結果として、戸籍上の表記と日常の読みの剥離が広がり、法的整理を求める声が高まっていったのだ。