悪性リンパ腫は、免疫システムを司る白血球の一種である「リンパ球」ががん化し、無制限に増殖する悪性腫瘍です。リンパ系組織は全身に張り巡らされているため、身体のあらゆる部位から発生する可能性があります。日本国内における年間罹患者数は約3万5,000人規模に達し、血液がん全体の半数以上を占めています。
患者が最初に自覚する症状として最も頻度が高いのは、表在リンパ節の無痛性腫脹(痛みを感じないしこり)です。特に発生頻度が高い部位は以下の3箇所に集中しています。
- 頸部(首の周り・鎖骨上窩):全体の約60%を占める最多発生部位。喉仏の周辺や耳の後ろ、鎖骨のくぼみに硬い球状の結節を触れます。
- 腋窩(脇の下):腕の付け根のくぼみ部分に、弾力性のあるゴムボールのような塊を自覚します。
- 鼠径部(足の付け根・コマネチライン):下腹部と太ももの境目にあるリンパ節が腫大し、下肢のむくみを併発することもあります。
一方で、身体の深部にあるリンパ節や、リンパ節以外の臓器(節外病変)から発生する場合、外からはしこりが見えません。胸の中央(縦隔)に病変が広がると長引く空咳や息切れ、胸痛が生じ、腹部のリンパ節や胃腸に発生した場合は慢性的な腹部膨満感、腹痛、食欲不振として現れます。脳や脊髄などの中枢神経に病変が生じると、頭痛や手足の麻痺、認知機能の低下といった神経症状を引き起こすケースもあります。このように、病変の発生部位によって多岐にわたる兆候を示す点が悪性リンパ腫の大きな特徴です。