毎年、大会序盤に必ずSNSを騒がせるのが「開幕3日目でA評価校が次々に敗退」「スポーツ紙のA評価はあてにならない」というファンの嘆きや揶揄です。なぜ、取材のプロであるはずのスポーツ紙の評価と、実際のグラウンド上の結果にこれほどのズレが生じるのでしょうか。そこには高校野球特有の構造的要因と、スポーツ紙評価の真相とも言える裏事情が存在します。
第一の要因は、「秋から春にかけての成長曲線の不可視性」です。高校生の肉体と技術は、冬の数か月間のトレーニングで劇的に変化します。秋の段階では制球難に苦しんでいた投手が、冬のフォーム修正によって突如として世代屈指の剛腕へ変貌を遂げるケースは珍しくありません。しかし、各紙の記者が全国数十校の仕上がりを完全に把握するには限界があり、どうしても前年秋の公式戦実績がベースとなって格付けが決まります。
第二の要因は、「地域ごとの販売網と紙面の華やかさ」に起因するメディア力学です。各スポーツ紙の本社・支局の配置上、地元代表校に対する期待感や読者ニーズを汲み取る必要があり、どうしてもボーダーライン上の強豪に対しては評価が甘く(高め)設定されがちです。また、ドラフト上位候補のスーパースターを擁するチームは、話題性から「チーム全体の総合力」以上に高ランクが付けられてしまうバイアスが働きます。
「評価が高いから勝てる」のではなく、「過去の実績と知名度が高いからA評価がついている」に過ぎないという冷静な視点を持つことで、ファンの予想精度は劇的に向上します。