革新的なスタジオA24が手掛けた本作は、伝統的なホラー映画の文脈を完璧に塗り替えた。日差しが降り注ぐ白夜の祝祭、一面に咲き乱れる花々、そして不気味な微笑みを浮かべる村人たち。いわゆるフォークホラーというジャンルにおいて、これほどまでに明るく、そして生理的な嫌悪感を煽る作品は存在しなかった。
アリ・アスター監督は、作品の持つ精神的な根幹として、過去の映画史そのものを体現する人物を必要としていた。映画というメディアに消費され、翻弄された歴史を持つ人物が、古き伝承の贄(生贄)となる。その重層的なメタファーこそが、世界中の映画通を唸らせた真のカラクリだったのだ。