SNSや大手Q&Aサイトを検証すると、「食べる時に噛み切れずに喉に詰まりかけた」「噛んだら中のえのきだけが全部抜けて皮だけ残った」という悲痛な声が後を絶ちません。料理研究機関の分析によると、肉巻きえのき噛み切れない理由の正体は、えのき茸の細胞壁に含まれる不溶性食物繊維「キチン質」の強固な構造にあります。
えのき茸は縦方向に強い繊維が平行に走っています。加熱すると外側の豚薄切り肉はタンパク質が変性して約70度前後から急激に収縮し、内部のえのきを固く締め上げます。長いまま束ねられたえのきを一口大に噛み切るには、強靭な繊維束を前歯で垂直に断断しなければなりませんが、人間の咀嚼力では滑りやすい円柱状の束を噛み切るのが極めて困難です。結果として、束全体が抜けて喉を直撃する危険な現象が発生します。
一方で、フライパン調理中に肉巻きえのき崩れる原因も明確な物理現象です。えのき茸は約90%が水分で構成されています。強火で熱せられると断端から大量の蒸気と水分が一気に噴出し、巻かれた肉の内側に侵入します。この水分が肉タンパク質同士の接着を物理的に阻害し、肉の繊維が縮む力と反発してパカッと開いてしまうのです。さらに、焼き固まる前に菜箸で頻繁に触ってしまう動作が、崩壊を決定づける引き金となっています。