ネット上のQ&Aサイトや知恵袋などで定期的に巻き起こるのが、「悪夢の反対語は吉夢なのか、それとも良夢なのか」という論争です。「悪夢の対義語を吉夢だと思っていたら国語のテストで減点された」「日常会話では悪夢の反対として吉夢が通じる」といった声が散見されます。
国語辞典の編纂現場や漢字体系の視点から結論を述べると、「悪」の厳密な対義語は「善・良・美」であり、「凶」の対義語は「吉」です。したがって、文字の対応関係として厳密に正当な組み合わせは以下の2本柱に分かれます。
1つ目は、起きたときの気分の良し悪しを語る「悪夢⇔良夢(または美夢)」。2つ目は、未来の運勢を語る「凶夢⇔吉夢」です。
ただし、日本語の慣習的な使用実態において、「昨晩は良夢を見た」という言い回しは文語的でほとんど定着していません。その結果、日常会話では感情的な悪夢の反対概念としても「吉夢」が代用されるケースが一般的になりました。辞書的な正誤判定では厳密に区分されるものの、通俗的なコミュニケーションにおいては「悪夢の反対=吉夢」という認識が広く浸透しているのが実態です。