夕方6時。帰宅直後のキッチンに立ち込めるのは、かつてのような焦燥感ではない。
いま支持を集めているのは、切った野菜を内鍋に放り込み、調味料を回しかけてスイッチを押すだけの「無水煮込み」だ。センサー技術が進化した最新の調理家電は、野菜自体の水分量をミリ単位で感知し、甘みを極限まで引き出す火加減を自動でキープする。水も油も最小限で済む。
ここに塩麹や酒粕といった伝統的な発酵調味料を少し足す。それだけで、コンソメキューブや化学調味料に頼らずとも、深いコクが生まれる。煮崩れたカボチャや玉ねぎがスープに溶け出し、濃厚なソースへと変化するプロセスは、タイパを追求する共働き世帯にとって何よりの救いだ。「手をかけないのに、手料理の味がする」。この手応えが、自炊を継続させる原動力になっている。