本作の凄みは、主演の小松菜奈のみならず、脇を固めた女優陣がそれぞれ常軌を逸したインパクトを放っている点にあります。
二階堂ふみが演じた遠藤那美は、加奈子の裏の顔を知り、彼女を陥れようとしながらも逆にその底知れぬ魔性に巻き込まれていく女子高生です。派手なメイクと挑発的な態度で父親の藤島を翻弄する一方で、加奈子の真の狂気に怯える出演シーンの表情変化は圧巻の一言でした。
橋本愛が演じた森内愛は、加奈子の中学時代の唯一の親友であり、物語の鍵を握るミステリアスな人物です。澄んだ瞳の奥に深い闇と執着を抱え、加奈子との秘密を静かに語るシーンは、バイオレンスが加速する映画本編の中で異様な静けさと哀愁を放ちました。
森川葵演じる長野智子は、加奈子によってドラッグと犯罪の泥沼に引きずり込まれる同級生です。ポップなビジュアルとは裏腹に、精神が崩壊していく過程を体当たりで熱演し、観客に強烈なトラウマを植え付けました。そして、父親の暴力に怯え家庭を捨てた母親・桐子役を演じた黒沢あすかは、崩壊した家族の悲哀と狂乱を生々しく体現。一瞬の気の緩みも許されない女優陣の鬼気迫るアンサンブルが、本作を唯一無二のダークスリラーに仕立て上げました。