順風満帆に見えたももクロと紅白の関係が一変したのは、翌2015年の冬でした。同年の『第66回NHK紅白歌合戦』の出場歌手発表リストに、ももいろクローバーZの名前はありませんでした。当時のシングルリリース状況やメディア露出の波を考慮したNHK側の選考結果による「実質的な落選」でした。
衝撃が走ったのはその直後です。出場歌手が発表された2015年11月27日、ももクロは公式サイト上で以下のメッセージを電撃発表しました。
「ももいろクローバーZは紅白歌合戦を卒業します。ありがとうございました」
落選直後に「卒業」を打ち出す異例の宣言に対し、ネットやワイドショーでは激しい議論が巻き起こりました。「落選したのに卒業とは負け惜しみではないか」「潔くてかっこいい」「NHKに対する当てつけなのか」など、世論は真っ二つに割れたのです。
しかし、当時の関係者インタビューやメンバーの手記を紐解くと、この宣言には別の本質が存在していました。ももクロにとって紅白は「早見あかりとの約束を果たすための象徴的なゴール」であり、3年間の連続出場と国立競技場単独ライブの成功によって、すでにひとつの巨大な物語が完結していたという点です。NHKの選考基準という「他者の評価軸」に毎年一喜一憂する活動から脱却し、自分たちの足でファンと共に歩む新たなフェーズへ移行するための明確な決別宣言だったといえます。