SNSや知恵袋などのコミュニティでは、「シャルルのラスサビは転調してさらに高くなっているのではないか」という疑問が長年にわたり投稿され続けています。「ラストサビで急に声が出なくなった」「キーが1音上がっている気がする」と感じる歌い手が後を絶たないためです。
音楽理論の観点からコード進行と旋律を検証すると、シャルルのラストサビは一切転調していません。楽曲の調性は開始から終了まで嬰ヘ短調(F# minor)/平行調のイ長調(A major)を維持しており、最高音もサビと同じ「hiD」のままです。
それにもかかわらず転調したように錯覚してしまう背景には、以下の音響的・心理的な要因が存在します。
第1に、Cメロ(間奏直後の静けさを伴うパート)からラストサビへのダイナミクスの急激な落差です。音数が削ぎ落とされた静寂から一気にドラムの激しいビートとフルバンドのサウンドが解放されるため、耳が受ける音圧とエネルギーが倍加します。
第2に、ボーカルの歌唱アプローチの変化です。v flowerの調声や須田景凪氏本人のセルフカバーにおいても、ラストサビでは感情表現を強め、アクセントの位置や息の混ぜ方(ブレス成分)を激しく変化させています。これにより、ピッチそのものは同一でありながら「より高音に張り上げている」ような心理的緊迫感が聴き手に刷り込まれる仕組みです。