「キャリアの後半で作品の質が落ちるのをみたくない」。タランティーノは過去のインタビューで幾度となくこの持論を繰り返してきた。多くの名監督が年齢とともに創造性の衰えを見せる中、彼は「全盛期の輝きを保ったまま退場する」という美学を固く信じている。
長編映画を10本のみ残して去るという公約は、彼にとって作品群を一つの完璧な「映画図書館」として完結させるための設計図でもあった。商業的な成功や周囲の熱望に流されることなく自らの潮時を宣言する姿勢は、自身のレガシーを自らの手で守り抜くという強固な意志の表れと言える。