結論から整理すると、letter of intent(意向表明書)の買収価格や取引条件そのものには、原則として法的拘束力はありません。LOIは「現時点で開示されている情報に基づき、この条件であれば買収を前向きに進めたい」という買い手の一方的な意向を伝える書面であり、最終契約書のように取引の実行を法的に強制するものではないからです。
ただし、実務上極めて危険なのが「LOI=一切の責任がないペーパー」と誤認してしまうことです。LOIを構成する条項のうち、独占交渉権、秘密保持義務、デューデリジェンスへの協力義務、公表の制限、準拠法・管轄裁判所といった特定の条項については、明示的に「法的拘束力を持たせる」のがグローバルおよび国内の定石となっています。
もし非拘束条項(ノンバインディング条項)を適切に挿入しなかった場合、後から買い手が一方的に交渉を撤退した際に「契約締結上の過失」を問われ、相手方から損害賠償を請求されるリスクが生じます。どの条項に拘束力を持たせ、どの条項を非拘束とするのかを明確に線引きすることが、LOIを取り交わす際の絶対条件です。