名犬としてパン工場を守るチーズですが、その出自には驚くべきドラマが隠されています。アニメ初期からの古参ファンには知られていますが、実はチーズ、元々はばいきんまんがアンパンマンを罠に陥れるために送り込んだスパイでした。
めいけんチーズ出会いの経緯が描かれたのは、1988年11月7日放映のTVアニメ第6話「アンパンマンとチーズ」です。当時、アンパンマンが「犬が苦手」という弱点を持っていた(※初期のごく一部に存在した幻の設定)ことに目をつけたばいきんまんは、森の中に子犬を縛り付け、アンパンマンをおびき寄せて精神的ダメージを与えようと企みました。
しかし、森の中で泣いていた子犬を発見したアンパンマンは、自らの恐怖心を抑え、飢えに苦しむ子犬に自分の顔をちぎって分け与えます。ばいきんまんの手先として送り込まれたはずの子犬は、その無償の愛と温もりに心を打たれ、ばいきんまんを裏切ってアンパンマンを助ける道を選びました。このとき救出され、ジャムおじさんによって名付けられた子犬こそが、のちの「めいけんチーズ」です。
敵の刺客から、もっとも信頼できる相棒へ――。このドラマチックな転身劇こそが、チーズが単なるペットを超えて、パン工場の守護神として命がけでアンパンマンを支え続ける心理的バウンダリーの源泉となっています。