ネット通販サイトを覗くと、小指ほどのサイズやコイン型の超小型録音機が無数に並んでいます。一見すると携帯性に優れ、相手に気づかれずに使えそうに見えますが、現場検証を行う取材班のもとには「購入したものの実用にならなかった」という声が多数寄せられています。失敗する人が共通して陥る落とし穴は、主に次の3点に集約されます。
第1の要因は、「衣服の擦れ音」に対する認識不足です。胸ポケットやカバンの中に忍ばせた場合、本体が布地と擦れ合う摩擦音がマイクにダイレクトに入力されます。マイクの感度が高ければ高いほど、低周波のガサガサという雑音が音声信号を塗りつぶし、肝心の会話が波形レベルで潰れてしまう現象が頻発します。
第2の要因は、音声起動録音(VOR機能)の誤作動や頭切れです。音を感知した時だけ録音を開始するVOR機能は、バッテリーとメモリを節約できる優れたシステムですが、安価なモデルでは立ち上がりに0.5〜1秒のラグが発生します。その結果、「暴言の決定的な一言目の語頭が録音されていない」「咳払いや空調の音で無駄に起動し、本番前に電池が切れていた」というトラブルが日常茶飯事となっています。
第3の要因は、操作性とステータス確認の難しさです。液晶画面のない極小モデルでは、「いま本当に録音状態に入っているのか」が外部から判別しにくく、長押し時間の誤認によって録音が開始されていなかったという致命的なミスが後を絶ちません。目立たないことと、確実に録音されている確証を得ることのトレードオフを理解せずに選ぶことが、最大の失敗原因といえます。