栄養管理を行う生活者から最も頻繁に寄せられる疑問が、「なぜナトリウムと食塩相当量は同じではないのか」という点である。端的に言えば、ナトリウムはミネラルの一種(元素記号Na)であり、食塩はナトリウムに塩素(Cl)が結合した化合物(塩化ナトリウム NaCl)を指す。
食塩の分子構造を化学的に見ると、ナトリウムの原子量は約23、塩素の原子量は約35.5である。したがって、食塩全体の分子量は「23 + 35.5 = 58.5」となる。この食塩の中に含まれるナトリウムの割合を逆算すると、「58.5 ÷ 23 ≒ 2.54」という数値が導き出される。これが、食塩相当量を計算する際に用いられる「2.54」という係数の科学的根拠である。
日々の生活で活用すべき具体的なナトリウム食塩相当量換算式は次の通りである。
【食塩相当量の計算方法】
食塩相当量(g) = ナトリウム量(mg) × 2.54 ÷ 1000
※グラム(g)単位に直すため、最後に1000で割る。
たとえば、栄養成分表示に「ナトリウム 400mg」と記載されていた場合、単純に0.4gの塩分が入っているわけではない。「400mg × 2.54 ÷ 1000 = 約1.02g」となり、実際には1gを超える食塩を摂取することになる。もし「ナトリウム 2000mg」であれば、「2000mg × 2.54 ÷ 1000 = 約5.08g」に達し、これだけで成人男性が1日に摂取すべき目標量の大半を占めてしまう計算となる。この数値のギャップを認識しておくことが、減塩生活の第一歩となる。