電源ボタンを何度押しても画面が真っ暗なままだと、直感的に「液晶が割れた」「基板が死んだ」と判断してしまいがちです。しかし、デジタル機器の修理現場において最も頻繁に確認されるのは、システムがスリープ状態へ移行する際、あるいはバックグラウンドで更新処理を行っている最中に処理が停止してしまう内部フリーズ(画面真っ暗のハングアップ)です。
Nintendo Switchは待機電力を抑えつつ即座にゲームを再開できるよう、高度なスリープ制御を採用しています。ところが、microSDカードの読み込み遅延やネットワーク通信の瞬断、あるいは特定タイトルのメモリ圧迫が重なると、画面のバックライトを完全に消灯させた状態のまま、CPU内部でプログラムが無限ループに陥ることがあります。この状態に陥ると、通常の「電源ボタンの短押し」には一切反応しなくなります。外見上は完全に電源が落ちているように見えても、内部では微弱な電力を消費しながら固まっている状態です。
もう一つの決定的な要因が、長期間起動していなかったことによるバッテリーの完全放電です。リチウムイオン電池は残量がゼロになっても、自己放電によって電圧が下がり続けます。一定の安全基準値を下回ると、バッテリー内部の制御基板がセル保護のために通電を一時的にシャットアウトします。この保護モードに入ると、充電ケーブルを接続した直後には画面に「電池マーク」すら表示されず、あたかも完全に通電を受け付けない文鎮状態のように振る舞います。