本作のストーリーテリングにおいて、視聴者に最も強い衝撃を与えたのが、悪役エボルトの正体と彼が仕掛けた十数年に及ぶ謀略の全貌です。物語序盤から戦兎たちの理解ある保護者として描かれ、秘密基地である喫茶店「nascita」で温かく見守っていたマスター・石動惣一(前川泰之)。彼こそが、火星を滅亡させた地球外生命体エボルトに肉体を乗っ取られた張本人であり、すべての惨劇を裏で糸引いていた黒幕でした。
エボルトの恐ろしさは、主人公たちを精神的・肉体的に徹底的に追い詰めながら、常に手玉に取り続ける底知れぬ知略とカリスマ性にありました。「ビルドシステムそのものが、エボルト自身の完全復活のために作られた実験場に過ぎなかった」という事実は、戦兎のアイデンティティを根本から粉砕します。敵対と共闘を狡猾に使い分け、味方陣営の感情を弄ぶその姿は、特撮史に残る純粋悪として強い印象を焼き付けました。
また、本作を語る上で欠かせないのが「フルボトル」のシステムです。有機物と無機物の組み合わせによって無限の変身バリエーションを生み出す「ベストマッチ」は、一見すると玩具展開に即したギミックに見えますが、物語の後半ではパンドラボックスのパネルを開放するための重要な鍵として機能します。ラビットとタンク、ホークとガトリング、ゴリラとダイヤモンドなど、それぞれの特性が物語の伏線として有機的に結びついていました。
そして全49話の白眉と言えるのが、最終回の伏線回収です。本作は第1話のオープニング前から、戦兎がボイスレコーダーに自分の体験を録音して語りかける体裁を取っていました。当初は単なる物語導入のモノローグと思われていたこの語りが、最終回において「ふたつの世界を融合させ、エボルトのいない新世界を創り出した結果、元の世界の記憶を持つ人間が戦兎と龍我の二人だけになった」という結末で、真実の歴史を忘れないために二人で記録を残すラストシーンへと完璧に回収されたのです。この美しい円環構造には、リアルタイムで視聴していたファンからも感嘆の声が上がりました。