路地裏にひっそりと佇む隠れ家へ足を踏み入れた。お目当ては、店主自らが早朝の市場で目利きした鮮魚と、全国の蔵元から直接買い付ける希少な日本酒だ。席数はわずか10席。予約困難と言われる理由はその一皿を口に運んだ瞬間に腑に落ちる。
今宵のハイライトは、皮目を備長炭で香ばしく炙った金目鯛と、季節の京蕪を丁寧に炊き上げた椀物。職人が引く鰹と昆布の一番出汁は、雑味が一切なく舌の上で静かに膨らむ。この極上の旬肴に合わせるべく店主が抜栓したのは、一般流通には滅多に乗らない東北の小規模蔵が醸す無濾過生原酒だ。
訪れる者を唸らせる限定地酒のラインナップは圧巻そのもの。
・秋田 新政酒造「プライベートラボ」別誂 ・福井 黒龍酒造「しずく」限定汲み ・長野 小布施ワイナリー「ソガ・ペール・エ・フィス」ヌメロシス ・奈良 油長酒造「風の森」ALPHA 氷結無濾過
立ち上る華やかな吟醸香とキレのある酸が、脂の乗った魚の旨味を何倍にも引き立てる。これぞまさに、失敗しない大人の夜を約束する至極のマリアージュ。週末の席は数ヶ月先まで埋まるため、訪れる際は公式予約サイトの更新日時をあらかじめ確認した上での即時確保が鉄則だ。