訪問看護を利用するにあたり、最も基本的かつ厳格に定められているのが「介護保険優先の原則」です。介護保険法第20条に基づき、要介護認定(要支援1〜2、要介護1〜5)を受けている方は、原則として介護保険による訪問看護を利用しなければなりません。利用者の希望や「今月は介護保険の枠がいっぱいだから医療保険を使いたい」といった都合で選択することは法律上認められていません。
しかし、厚生労働省の規定により、特定の医学的要件を満たした場合は介護保険から医療保険へ自動的に切り替わる仕組みになっています。主な例外条件は以下の3パターンです。
- 1. 厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7):末期がん(悪性腫瘍末期)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病関連疾患などの難病や重度障害に該当する場合。
- 2. 特別訪問看護指示書の交付(別表第8):急性増悪期や退院直後、看取り期など、主治医が集中的な看護ケアを必要と認めて「特別訪問看護指示書」を交付した場合(原則月1回・14日間を限度)。
- 3. 精神科訪問看護基本療養費の対象:認知症を除く精神疾患に対して、精神科を標榜する主治医から精神科訪問看護指示書が交付された場合。
これらの条件に該当した場合、訪問看護ステーションは医療保険へ請求を切り替えます。これにより介護保険の区分支給限度基準額(単位数)を使わずに済むため、デイサービスやショートステイなど他の介護サービス枠を圧迫しないという大きなメリットが生まれます。