俳優としての華々しい活躍の裏で、米倉斉加年は絵本の世界でも不滅の功績を残した。自作の絵本作品は国内外で絶大な評価を受け、国際的な絵本賞であるボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を複数回受賞するという快挙を成し遂げている。
細密な筆致と独特の彩色で描かれる世界は、どこか耽美的でありながら、胸を締め付けるような哀愁と優しさに満ちている。子どものためだけの散文的な童話にとどまらず、大人の鑑賞にも堪えうる芸術性を持ち込んだ彼の作品は、当時の出版業界に大きな激震を与えた。
「絵本は子どもに与える最初のアートである」という信念のもと、決して妥協を許さずに描かれた作品群。出版業界における絵本の概念を拡張し、現代の絵本作家たちにも計り知れないインスピレーションを与え続けている。