植え付け直後から夏場にかけて苗木が急速に衰弱し、葉が黄色く変色(クロロシス)して枯死するトラブルは、園芸愛好家の間で「ブルーベリーの突然死」として恐れられています。しかし、この枯死には極めて論理的な植物生理学的要因が存在します。
ブルーベリーが枯れる原因と真相の根底にあるのは、一般の庭木とは全く異なる「根の構造」と「好酸性」という特殊な生態です。ブルーベリーの根には植物ホルモンや水分を吸い上げる根毛(こんもう)が存在せず、非常に細い繊維状の根が表層近くに浅く広がります。この細根は好酸性菌根菌(エリカイド菌根菌)と共生関係を結ぶことで養水分を吸収していますが、一般的な園芸用土や日本の標準的な畑土(pH6.0〜6.8)では鉄分や微量要素が不溶化し、養分を一切吸収できなくなります。
さらに見落とされがちな盲点が、ピートモス酸度調整のコツを誤認したことによる乾燥死です。市販の用土に「無調整ピートモス」を混ぜる際、乾燥した状態のまま用土に混ぜて植え付けると、ピートモス特有の強力な撥水性により、どれだけ上から水を与えても水を弾いて根鉢内部が完全に乾ききってしまいます。種苗メーカーの技術担当者は次のように証言します。
「鉢植え枯死の相談で土を掘り返すと、中心部のピートモスがサラサラの砂漠状態になっている事例が半数を超えます。植え付け前にバケツの中でピートモスを揉み込み、芯まで完全に水を吸わせる『水戻し』を怠ると、水やりをしているつもりでも実質的な水切れ状態に陥ります」