ネット上の言説においてしばしば見受けられるのが、「野呂佳代はアイドルを辞めて太ったからバラエティで売れ、女優になれた」という単純化されたストーリーです。しかし、この解釈は本質的な事実を見誤っています。
第一の盲点は、彼女が単に「太ったから面白くなった」のではないという点です。AKB48創成期のチームKは、前田敦子や高橋みなみを擁する華やかなチームAに対抗するため、秋元康氏から「体育会系の泥臭さと圧倒的なパフォーマンス」を求められていました。野呂はその過酷なレッスンと連日の劇場公演で、徹底的な舞台度胸と瞬発的な自己表現力を鍛え上げられていたのです。
第二の誤解は、「痩せていた頃はタレントとして通用しなかった」という思い込みです。SDN48時代のキャプテンとしてのMC回しや、グループを牽引した統率力は業界内でも高く評価されていました。彼女のブレイクの根底にあるのは体型の変化そのものではなく、徹底的に磨き上げた基礎的な実力の上に、変化した体型を受け入れる精神的な成熟が重なったことにあります。体型はブレイクの「きっかけ」に過ぎず、成功を維持し続けている理由は彼女の人間性と確固たる表現技術です。