映画シリーズでは『ハリー・ポッターと秘密の部屋』のポストクレジットシーンで、動く肖像写真の中でサインを書き続ける姿がコミカルに描かれたのみで、その後の消息はカットされていました。しかし、原作小説第5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、ロックハート先生のその後が非常に詳細かつ生々しく描かれています。
記憶を完全に破壊された彼は、魔法界の専門医療機関である聖マンゴ魔法疾患傷害病院の4階「ヤヌス・シッキー病棟(魔法の呪文による不可逆的損傷を治療する長期隔離病棟)」へ収容されていました。ここは、ベラトリックス・レストレンジらの拷問によって精神を破壊されたネビル・ロングボトムの両親(フランクとアリス)が入院している病棟でもあります。
ハリーたちがアーサー・ウィーズリーの入院見舞いに訪れた際、偶然にもロックハートと再会を果たします。当時の彼は、自分がかつて誰であったのか、なぜここに入院しているのかすら理解していませんでした。それでも「ファンレターが届いている」「サインを書くのが自分の仕事だ」という断片的な虚栄心の癖だけが体に染み付いており、病棟内を徘徊しながら訪れる見舞い客や看護師に無差別かつ熱心に自筆サインを配り歩いていたのです。原作者J.K.ローリングが後のインタビューで明かした設定によると、彼の記憶が完全に回復することは生涯なく、現在も病棟で静かに暮らしているとされています。