簡便に見えるヒアルロン酸注入療法だが、繊細な技術を要する医療行為であることに変わりはない。特に注意すべき失敗例が「チンダル現象」だ。これは皮膚の浅すぎる層にヒアルロン酸が注入された際、光の散乱によって皮膚が青白く透けて見えてしまうトラブルを指す。
目元の皮膚は非常に薄いため、わずかな層の狂いが青黒いクマのような不自然な影を生み出す。さらに、過剰な量を注入されたことで笑った際に不自然なコブのような隆起が生じる「入れすぎ症候群(Overfilled Syndrome)」も問題視されている。
万が一トラブルが生じた場合でも、ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)によって分解・リセットできる点がヒアルロン酸の強みではある。とはいえ、再治療には追加の費用と精神的負担が伴う。施術前の徹底したアセスメントと、適量を守る医師の倫理観が何よりも求められる。