殺人の隠蔽工作に協力するのが、クラスの秀才・東直樹(あずまなおき)だ。一見すると正義感あふれる少年に見える東くんだが、彼もまた重い病を抱えていた。教育ママである母親からの過度なプレッシャーと、優秀な兄に対する深いコンプレックス。彼にとってしずかを「救うこと」は、自身の存在価値を証明し、親からの認同を得るための依存手段に過ぎなかった。
東くんはしずかを守るという名目のもと、自らの歪んだ救済欲求を満たしていく。まりなの死体を山中に埋める隠蔽工作を主導し、どんどん狂気へと落ちていく東くん。人間が持つ「誰かを救いたい」という善意すらも、エゴと結びついた瞬間、暴力的な毒へと変貌することを物語は冷徹に描き出している。