「なぜ厳格に管理されているはずの市販米に黒い粒が混ざっているのか」という疑問は、流通構造と精米技術の限界を知ることで解消されます。
現在、精米工場では光センサーで異物や着色粒を弾く「高精度な色彩選別機」が標準導入されています。毎分何十万粒という米粒をカメラで監視し、黒い粒を空気銃(エアー)で弾き飛ばす仕組みです。しかし、精米処理速度が極めて高速であることや、斑点米の黒い部分が米粒の裏側に隠れている角度では、選別機をすり抜けて混入する確率が0.01〜0.1%程度残ってしまいます。
また、農産物検査法における玄米の品質規格(等級基準)も関係しています。
- 1等米:着色粒(斑点米・ヤケ米など)の混入率が0.1%以下(千粒に1粒程度)
- 2等米:着色粒の混入率が0.3%以下(千粒に3粒程度)
- 3等米:着色粒の混入率が0.7%以下(千粒に7粒程度)
最高ランクである「1等米」の認定を受けた米であっても、0.1%までの混入は法的に許容されています。つまり、5kgの米袋(約25万粒)の中には、計算上最大で250粒程度の斑点米が混入していても規格上は正常品なのです。
さらに近年は、農薬の使用量を大幅に抑えた特別栽培米や有機米の人気が高まっています。殺虫剤の散布を極力控えるため水田内のカメムシ被害が発生しやすく、「黒い粒がわずかに混ざっていることこそが過剰な化学農薬に頼っていない健全な環境で育った証拠」という見方も生産現場では常識となっています。