探偵事務所の主である隠神鼓八千(いぬがみ こはち)とミハイの関係は、雇用主と従業員といった単純な枠組みには収まりません。一言で表現するならば、「利害の一致によって結ばれた、百戦錬磨の悪友」です。
ミハイは、探偵業務の通信サポートや技術提供を行う見返りとして、事務所の地下に完全防音・遮光のプライベート空間と、日本国内トップクラスの超高速通信回線、そして無限に供給される最新ゲーム環境を要求しています。隠神側も、ミハイの傲慢さや毒舌を飄々といなしながら、その卓越した電脳スキルをフルに活用して事件を解決に導いています。
お互いに腹の内を探り合い、時に皮肉をぶつけ合う間柄ですが、根底には数百年を生きてきた者同士にしか分からない深い理解と信頼が存在します。夏羽たち子供世代に対して過酷な試練を与えるミハイを隠神が窘(たしな)めつつも、決して追い出そうとしないのは、彼の持つ知恵と強さが事務所にとって不可欠な防波堤であることを誰よりも熟知しているからです。