自彫りを行う中学生の多くが使用するのは、家庭科用の裁縫針、安全ピン、コンパスの針、そして文具店で購入した書道用の墨汁や油性ボールペンのインクです。しかし、医療機関の専門医は自彫りにおける墨汁や針の危険性について強い警鐘を鳴らし続けています。
市販の針は滅菌処理が施されておらず、ライターの火で炙った程度では芽胞菌やウイルスを完全に死滅させることはできません。不衛生な器具で皮膚のバリア機能を突き破り真皮層まで達することで、タトゥーの自彫りによる感染症リスクは跳ね上がります。黄色ブドウ球菌による重度の蜂窩織炎(ほうかしきえん)や敗血症、さらには針の使い回しによるB型・C型肝炎、HIVなどの血液媒介感染症に罹患する危険が常に潜んでいます。
さらに、書道用の墨汁は皮膚内に注入することを前提に作られていません。煤(カーボンブラック)のほかに防腐剤(フェノール類)や膠(にかわ=動物性タンパク質)が含まれており、生体内に注入されると激しい異物反応やアレルギー反応を引き起こします。結果として、墨を入れた部位が赤く腫れ上がり、膿(うみ)が排出され、最終的にケロイド状の隆起やひきつれを起こして元通りの皮膚には二度と戻らない状態に陥るケースが後を絶ちません。