上州七日市駅周辺を歩くと、単なる郊外の住宅街にとどまらない、重厚な歴史の陰影を感じ取ることができます。富岡高校の敷地一帯は、江戸時代に加賀前田家の祖・前田利家の五男である前田利孝が立藩した七日市藩陣屋跡そのものです。
通常の大名陣屋は城郭を持たない小規模な政庁であることが多いですが、七日市藩は加賀百万石の血を引く名門として特別な格式を誇っていました。現在も高校の敷地内外には以下の貴重な歴史遺構が現存・保存されています。
- 七日市藩陣屋御殿(群馬県指定重要文化財):旧藩主の居館部分が富岡高校の敷地内に現存。全国的にも陣屋御殿が残る例は極めて稀です。
- 御殿長屋と黒門:藩士の詰所や陣屋の格式を示す門構えが往時の威容を伝えています。
- 陣屋大名庭園:心字池を中心とした回遊式庭園の面影が今なお校地内に保全されています。
歴史愛好家がこの地を訪れる際は、学校教育の場としての静穏を保つため、校地内への無断立ち入りを避け、敷地外からの見学や富岡市教育委員会による一般公開イベントの機会を活用するのがマナーです。