財団はこれまで、使い捨ての人員である「Dクラス職員」を用いて計4回の有人探査作戦を実施しました。深部へ進むごとに増大する異常と、最終的にプロジェクトそのものが永久封印されるに至った経緯を比較整理したデータが以下の通りです。
多くの読者が息を呑むのが、「探索記録4」の結末です。第1回から第3回までは、無線通信のやり取り、暗闇の足音、心理的動揺が生々しく文字起こしされています。しかし第4回に至って突如、全テキストが黒塗りにされ「この記録へのアクセスは禁止されています」という冷淡な一文のみが残されます。
ネット上の考察コミュニティにおいて、探索記録4の結末には主に3つの仮説が存在します。
第1に「最深部到達説」です。階段には物理的な床が存在し、そこに横たわっていたのは子供の遺骸、あるいはSCP-087-1を無数に生み出す母体のような「元凶」であり、その描写があまりに倫理的・精神的耐性を破壊するものであったため封印されたという説。
第2に「空間崩壊・地上侵食説」。Dクラス職員が深淵の特定地点を刺激した結果、階段内部の特異性が大学キャンパス側へと逆流し始め、扉を突破して外部にSCP-087-1が解き放たれかけたため、財団上層部が即時調査打ち切りを命じたという解釈です。
そして第3が、最もSCPらしいと言われる「読者の想像力への委ね(文学的空白説)」です。原作者はあえて記録を黒塗りにすることで、「人間が想像しうる最も凄惨な光景」を読者自身の脳内に描かせる手法を取りました。この引き算の美学こそが、吹き抜けた階段を伝説的なホラー作品へと押し上げた最大の要因と言えます。